Kindleが採用しているのはE Inkという電子ペーパーシステムである。凸版印刷のE Ink 電子ペーパーページの説明がわかりやすいと思われるが、最大の特徴は透過光ではなく反射光であるということだ。

紙の本もそうだが、物体に反射した光が目に入る。これが反射光。一方、テレビやパソコンのモニターはブラウン管や液晶やプラズマディスプレイが光を発している。これが透過光メディアだ。E Inkを使ったキンドルは、電子本デバイスでありながら、透過光ではなく反射光なのである。

反射光と透過光の違いは、実は非常に重大な意味を持っている。その意義について、丸田一『「場所」論―ウェブのリアリズム、地域のロマンチシズム (叢書コムニス08)』が非常にわかりやすくまとめているので、少し長くなるが引用したい(178~179ページ)。ここでは、映画も反射光メディアに含まれている。


 まず、確認したいのが、「透過光」がもたらす「距離埋没効果」である。パソコンのモニター、携帯電話をはじめ、ウェブ空間のインターフェースは、ほとんどが透過光によるスクリーンである。スクリーンにはブラウン管や液晶、有機ELなど様々な映像表示方式が採用されているものの、どれも発光源を持ち、スクリーン表層を透過する光線で画面を表示することに変わりない。透過光による表示は、反射光の表示に比べて現前性が高く、利用者の身体とスクリーンとの間に横たわる十数センチ~数十七ンチという距離を埋めてくれる。


 透過光が強い現前性をもたらすことは、マクルーハンも『メディアの法則』[★125]で指摘している。マクルーハンは、映画の観客を二分して、一方には普通の映画と同じように反射光によって、もう一方には透過光によって同じ映画を鑑賞させるというハーバート・クルーグマンの実験を取り上げている。反射光のグループの感想は、映画を物語や技術に注目して理性的に分析し、批判する傾向が優位を占めたのに対して、透過光のグループでは、好き嫌いという情緒的で、主観的な反応が優位を占めた。

 反射光の映画において観客は、スクリーンと身体との物理的な距離を保ったまま、対象としてスクリーン上を見ている。この距離が映像を対象化し、観客に分析的で批判的な見方を与える。一方、透過光のテレビでは、スクリーンを越えて到達する光に視聴者が深く差し込まれてしまうので、映像は実際のスクリーン面から離れて、観客の目や身体を擬似的なスクリーンにして現前する[★126]。このように透過光の場合、観客は対象とうまく距離をとれず、場合によっては対象と位置的に重なってしまうことが、観客に情緒的、主観的な見方を与えるといえるだろう。

 ところで、パソコンのスクリーンを眺めていても発見できない誤字脱字が、プリントアウトすると容易に見つかるという経験は、誰もが一度はあるのではないだろうか。これも「反射光と透過光」である程度説明ができる。スクリーンの透過光で文字を読んでいても見逃しがちな誤字脱字は、プリントアウトした紙の反射光で読むと、対象を分析的、批判的に捉えることができるので、より発見されやすいといえる[★127]。

 このように現前性の強い透過光が、ウェブ空間のインターフェースに用いられているのは偶然ではないだろう。現前性の高い透過光は、スクリーンと利用者の身体との。間にある物理的な距離を埋没させ、スクリーンを没対象化させてしまう。これがスクリーンというインターフェースを準没入型に変えるのである。

Kindleが採用しているのはE Inkという電子ペーパーシステムである。凸版印刷のE Ink 電子ペーパーページの説明がわかりやすいと思われるが、最大の特徴は透過光ではなく反射光であるということだ。

紙の本もそうだが、物体に反射した光が目に入る。これが反射光。一方、テレビやパソコンのモニターはブラウン管や液晶やプラズマディスプレイが光を発している。これが透過光メディアだ。E Inkを使ったキンドルは、電子本デバイスでありながら、透過光ではなく反射光なのである。

反射光と透過光の違いは、実は非常に重大な意味を持っている。その意義について、丸田一『「場所」論―ウェブのリアリズム、地域のロマンチシズム (叢書コムニス08)』が非常にわかりやすくまとめているので、少し長くなるが引用したい(178~179ページ)。ここでは、映画も反射光メディアに含まれている。


 まず、確認したいのが、「透過光」がもたらす「距離埋没効果」である。パソコンのモニター、携帯電話をはじめ、ウェブ空間のインターフェースは、ほとんどが透過光によるスクリーンである。スクリーンにはブラウン管や液晶、有機ELなど様々な映像表示方式が採用されているものの、どれも発光源を持ち、スクリーン表層を透過する光線で画面を表示することに変わりない。透過光による表示は、反射光の表示に比べて現前性が高く、利用者の身体とスクリーンとの間に横たわる十数センチ~数十七ンチという距離を埋めてくれる。


 透過光が強い現前性をもたらすことは、マクルーハンも『メディアの法則』[★125]で指摘している。マクルーハンは、映画の観客を二分して、一方には普通の映画と同じように反射光によって、もう一方には透過光によって同じ映画を鑑賞させるというハーバート・クルーグマンの実験を取り上げている。反射光のグループの感想は、映画を物語や技術に注目して理性的に分析し、批判する傾向が優位を占めたのに対して、透過光のグループでは、好き嫌いという情緒的で、主観的な反応が優位を占めた。

 反射光の映画において観客は、スクリーンと身体との物理的な距離を保ったまま、対象としてスクリーン上を見ている。この距離が映像を対象化し、観客に分析的で批判的な見方を与える。一方、透過光のテレビでは、スクリーンを越えて到達する光に視聴者が深く差し込まれてしまうので、映像は実際のスクリーン面から離れて、観客の目や身体を擬似的なスクリーンにして現前する[★126]。このように透過光の場合、観客は対象とうまく距離をとれず、場合によっては対象と位置的に重なってしまうことが、観客に情緒的、主観的な見方を与えるといえるだろう。

 ところで、パソコンのスクリーンを眺めていても発見できない誤字脱字が、プリントアウトすると容易に見つかるという経験は、誰もが一度はあるのではないだろうか。これも「反射光と透過光」である程度説明ができる。スクリーンの透過光で文字を読んでいても見逃しがちな誤字脱字は、プリントアウトした紙の反射光で読むと、対象を分析的、批判的に捉えることができるので、より発見されやすいといえる[★127]。

 このように現前性の強い透過光が、ウェブ空間のインターフェースに用いられているのは偶然ではないだろう。現前性の高い透過光は、スクリーンと利用者の身体との。間にある物理的な距離を埋没させ、スクリーンを没対象化させてしまう。これがスクリーンというインターフェースを準没入型に変えるのである。

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